開発の仕事特集~製品ができるまで~

車番検索システム『車BAN(シャバン)』

開発の仕事特集~製品ができるまで~

2014年春に発売された『車BAN』は、駐車場を入退場する車両のナンバープレートの情報をデータベース化し、様々な分析レポートを作成できる車番検索システムだ。アミューズメント施設での防犯対策の強化はもちろん、駐車場内の事故や車上あらしが発生したときには容疑者を特定する重要な手掛かりになる。従来よりも高機能で低価格を実現した画期的な製品が完成するプロセスを見ながら、開発の仕事に迫ってみた。

step_1

step_1_font

従来の車番認識システムは高価格のため、“価格を抑えて機能を充実させた付加価値の高いシステム”をコンセプトに開発をスタート。まずは、製品の核となる車両ナンバーを正確に認識するためのセンサーをリサーチした。新しい技術や製品を調べていくなかで目をつけたのは赤外線投光器。肉眼では見えない光を当てるため、運転の妨げにならず、夜間でもナンバーを認識できるセンサーの搭載が決まった。

step_2

step_2_font

step_2_img設計は、実際にシステムを使う店長やスタッフの視点に立ち、使いやすさを重視。操作モニターのインターフェイス(GUI)は、大きなボタン内に文字を入れ、どんな動作をするのかすぐに見てわかるように工夫した。車両ナンバーをデータベース化して分析結果を表示するグラフのデザインや数量の単位なども詳細に仕様書に書き込み、検討を重ねた。

step_3

step_3_font

step_3_img試作が出来上がった段階で、自社とアミューズメント施設の駐車場にカメラを設置し、車両ナンバーの認識率を測定。データベースとカメラが映し出した映像を見比べると、肉眼では見えるのに認識されない車両がいくつかあった。直射日光や車のヘッドライトがレンズに入り込むことが原因だとわかり、カメラの設定や設置場所を何度も変更してベストポジションを探っていった。

step_4

step_4_font

step_4_img車両ナンバーの認識率が上がり、製品完成の目途がついたタイミングで、全拠点の営業マネージャーに『車BAN』の機能や操作方法、データベースの画面を見せながらプレゼンテーションを実施。顧客に最も近い存在で実際に販売をする営業の意見を製品に反映させることは多くある。今回は「価格は低く、データ分析機能が多彩。従来製品との違いがわかりやすく、売りやすい」と好感触を得た。

step_5

step_5_font

step_5_img『車BAN』は防犯意識の高く、投資にも意欲的な顧客がターゲット。さらに駐車場の出入り口の位置など、いくつかの条件をクリアした店舗でなければ設置できない。顧客層が限られているため、個別営業よりも業界専門誌に広告を出稿し、広く認知してもらう方法を採った。さらに東京ビッグサイトの『パチンコ・パチスロイノベーションフェア2014』に出展。多くの人がブースに立ち寄るなか、取引のある顧客から初受注をもらった。

step_6

step_6_font

step_6_img顧客から店舗と駐車場の図面をもらい、カメラの台数と設置場所を検討。製品を設置する工事課と事前に打ち合わせを行った。当日は現場に立ち会い、図面通りに設置されているかを確認。図面上での想定と現場では異なることがあり、最適なカメラの設置場所や設定を再検討する場面もあった。システムを稼働させた後は、実際に操作してもらいながら顧客の意見を聞き、微調整を繰り返した。

step_7

step_7_font

数日間、『車BAN』を使ってもらい、顧客に操作性やデータ分析機能について意見をヒアリング。「店舗運営に活かせるように、もっと細かな分析がしたい」「データを個人のパソコンに取り組みたい」といった要望が出てきた。これらの意見を参考にしてカスタマイズを行い、バージョンアップ時に新しい機能として加えるか、すでに検討を始めている。顧客の声を取り入れながら、よりよい製品づくりに邁進していく。

  • ITAの開発の特徴を教えてください

    開発と聞くと机上での仕事をイメージするかもしれませんが、ITAでは協力会社との折衝から社内調整、現場への製品設置・調整、展示会への出展まで、すべてのことに携わり、お客様の声を直接聞きながら開発を行っています。

  • 開発にはどんな苦労がありますか?

    システムや製品が完成したら終わりではありません。稼働後に微調整を行うのはもちろん、数日間、開発が立ち合いをして要望聞き、より使いやすいようにカスタマイズ。お客様と一緒に製品を育てていくスタイルです。

  • 認識率アップのためにどんな工夫をしましたか?

    動いているものを撮影すると画像がブレてしまうため、シャッタースピードを速めますが、やり過ぎると今度は明るさが足りなくなります。微妙に設定を変えて何度もテストを繰り返し、最適な数値を見つけました。

  • 社外メンバーとプロジェクトを進める際に大切なことは?

    『車BAN』ではシステムの実装を外部のソフトウエアハウスに委託しました。例えば、様々なシステムと連動しているカメラシステムなどは外部に委託することが難しいのですが、今回の『車BAN』は単体で制御可能な製品のため、社内・社外の分業を図りました。

ITAの開発とは

若いエンジニアに求めるのは、新しい発想


大阪本社 開発部 部長 朝倉 氏 大阪本社 開発部 部長 朝倉 氏

『車BAN』の開発を手掛けたのは、入社11年目のエンジニア。組み込みソフトウエアと電気系ハードウェアの両方の開発ができるオールマイティな人材です。唯一、PC上で動作するアプリケーションソフトウェア開発の経験がなかったので、仕事の幅を広げるために彼に一任。また、社外の協力会社との連携や社内調整など、周囲を動かすマネジメント能力を身につけてほしいという期待もありました。今回の仕事で一連の開発業務に携わり、技術ノウハウとコミュニケーション力を高められたと思います。

当社では文系理系を問わずに新卒を採用し、一人前のエンジニアへと育てていきます。1年目はシステムの構造や使い方を理解する学びの時期。2年目はカスタマイズを経験しながら実務を少しずつ覚え、3年目には上司と一緒にチームを組み、システム設計全体を任せます。段階を経ながら若いうちから様々な経験ができるので、みんな成長が早いですね。

若いエンジニアに求めるのは、業界の固定概念にとらわれない新しい発想です。自分のアイデアや個性を大切にし、お客様や先輩に育ててもらいながら着実にスキルアップしてほしいですね。

page top